個人事業主の経費はどこまでOK?グレーゾーンの判断基準を奈良の税理士が解説
「これって経費にしていいのかな?」——個人事業主やフリーランスの方から、最も多くいただくご相談のひとつです。
結論から言うと、経費にできるかどうかの判断基準は「その支出が事業の売上を生むために必要だったか」です。 プライベートと混在する支出(家賃・通信費・車など)は、事業に使った割合で「按分(あんぶん)」して経費にします。
この記事では、奈良で個人事業主の税務を支援している税理士が、経費のグレーゾーンと按分の考え方を具体例つきで解説します。
経費の基本ルール
所得税法上、必要経費として認められるのは次の2つの要件を満たす支出です。
- 総収入金額を得るために直接要した費用(売上原価など)
- その年に生じた販売費・一般管理費、その他業務上の費用
かみ砕くと、
- 事業と関連性がある
- 金額が常識の範囲内である
- 支出の事実を証明できる証拠(領収書・請求書・帳簿)がある
この3点がそろえば、経費として計上できます。
よくある経費のグレーゾーン5選
① 自宅兼事務所の家賃・光熱費
自宅の一部を仕事に使っている場合、面積比または使用時間比で按分します。
例:6部屋のうち1部屋を専用の仕事部屋にしている → 面積比で約17%が経費。月10万円の家賃なら1.7万円/月が経費。
電気代は仕事部屋の面積比、あるいは平日日中の使用時間比で按分するのが一般的です。
② スマホ・インターネット代
事業で使う割合で按分します。「仕事用LINE・メール・クライアント電話」に使う割合を合理的に見積もり、たとえば50%なら通信費の半額を経費に。プライベート割合がほぼゼロの「仕事専用スマホ」であれば全額経費にできます。
③ 飲食代・交際費
クライアントとの打ち合わせや仕事関係者との会食は「接待交際費」として経費にできます。ただし、
- 誰と(相手の氏名・会社名)
- 何の目的で
を領収書の裏にメモしておくのがポイント。一人ランチや家族との食事は原則として経費になりません。
④ 衣服代
スーツや一般的な服は、仕事以外でも着られるため原則として経費にできません。ただし、
- 作業着・ユニフォーム
- 撮影や取材専用の衣装
- 屋号入りのポロシャツ
など、「明らかに事業専用」と言えるものは経費になります。
⑤ 車の経費
事業と私用を兼ねている車は、走行距離比または使用日数比で按分します。対象は、
- ガソリン代
- 駐車場代
- 車検代・修理代
- 自動車保険料
- 自動車税
- 車両本体(減価償却)
走行距離をメモするアプリを使うと、按分根拠が明確になり税務調査でも説明しやすくなります。
按分は「合理的に説明できる根拠」がカギ
按分割合に決まったルールはありません。重要なのは、税務調査で「なぜその割合なのか」を数字で説明できることです。
- 家賃: 事務所部分の面積 ÷ 自宅全体の面積
- 通信費: 仕事用の利用時間 ÷ 全体の利用時間
- 車: 仕事での走行距離 ÷ 年間走行距離
- 光熱費: 仕事時間 ÷ 在宅時間、または面積比
「ざっくり50%」と丸めるのではなく、「うちは3LDKのうち1部屋が仕事場だから25%」のように根拠を示すと税務署に納得されやすくなります。
経費にならないもの
次のような支出は、業務関連に見えても経費にできません。
- 生計のための食費・住居費・医療費
- 所得税・住民税(事業税や固定資産税の事業部分はOK)
- 国民年金・国民健康保険料(これらは「所得控除」で別枠で差し引く)
- 事業主本人への給与(青色事業専従者給与は別)
- 交通違反の罰金・駐車違反の反則金
- ローンの元本返済(利息部分は経費)
領収書・帳簿は何年保存?
- 青色申告者: 帳簿7年、請求書・領収書は原則7年(消費税の課税事業者は7年、前々年の売上1,000万円以下は5年)
- 白色申告者: 帳簿は7年、領収書・請求書は5年
電子帳簿保存法への対応で、電子で受け取った請求書(PDFなど)は電子のまま保存が義務化されています。
税理士に相談すべきケース
- 経費にできるか判断に迷う支出が多い
- 按分の割合をどう決めればいいか分からない
- 税務調査が心配で、経費処理を見直したい
- 売上が伸びてきて、青色申告65万円控除やインボイス対応を検討したい
横山千夏税理士事務所では、個人事業主・フリーランスの経費判断や記帳指導を数多くサポートしてきました。奈良県内はもちろん、オンラインでのご相談も承ります。「こんな細かいこと聞いていいのかな?」というご質問ほど、実はグレーゾーンだったりします。ぜひお気軽にご相談ください。
